××倶楽部

 聖良さんの病気のことも、聖夜の気持ちも……当時の私には受け入れてあげられる程の器はなかった。


「リオさん……大丈夫、僕はちゃんとリオさんが好きです」


 聖夜が眩しいくらい素敵に笑うから、私は悔しくなった。


「好きなら、ちゃんと相手にしてくれないと別の男と付き合っちゃう」

「リオさんっ!? なんで?」


 声が裏返った聖夜が可愛くて、もっと苛めたくなる。


「聖夜がちゃんとつなぎ止めていてくれないと、私どこか行っちゃうから」


 そんなこと、この時の聖夜に言っちゃいけなかった。


「リオさん……」


 聖夜の声のトーンが低くなる。


「母さんが旅行好きだから、今日は父さんが旅行会社でパンフレットもらってきて三人で旅行の計画たてる約束してるんです。明日で母さんは病院に戻るし……だから僕帰ります」

 どうして? と問い詰めたくなった。

 学校の友達は、みんな親よりも恋を一番に大切にしていて、中には友達より彼氏を優先する子だっていた。


 なのに、どうして、聖夜は私よりも両親なんだろう? って、私が一番わかっていてあげなきゃいけないことを、私はわからないふりをした。


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