××倶楽部
「母さんってば、行きたい場所ランキング100位まで紙に書いてて、何年かかるんだろう? しかも、海外ばかり」
聖夜の腕が私を押した。
わからなかった……だから……
「本当に行けるの?」
私は絶対に言っちゃいけない一言で、まだ幼い聖夜を傷つけた。
聖良さんの病状を見てれば素人でもわかる。海外旅行なんて、医者が許可をだすはずなかった。食事も喉を通らないのに、何時間も飛行機に乗って旅をするなんてできるはずがない。
そんなこと、聖夜と摩夜さんが一番わかってるはずなのに、私は聖夜を傷つけることしかできなかった。
「行けますよ。父さんが張り切ってるから、僕は帰ります」
取り残された校舎の裏、聖夜がみせた痛々しい笑顔に打ちのめされた。崩れ落ちるように泣いたけど、一番泣きたかったのは私じゃなくて聖夜なのに……