××倶楽部

 ミーナ様は、わかったよ、とソファーから立ち上がると、私に、しっかり聞き耳たてとけよ芽依、と耳打ちして部屋から出ていった。

 社長は、よしよし、と言いながら膝の上のハヅキ様を好きなだけ泣かせてあげて、背中を優しくさする。


「バーが成功したら……結婚指輪買ってくれるって……」

「そうですか、店の経営は大変でしょうけど、頑張れますよ」

「……ホスト時代のお客様も応援してくれるだろうからって……」

「すごいですねー! 人気あるんですね、ハヅキさんの彼は」


 社長が話をあわせると、ハヅキ様は余計にわんわんと泣いた。


 わかってるんだ……自分が騙されたことを……


 なんとなく経理の仕事しながら、聞き耳たててるわけじゃないけど、話が聞こえてくる。


「あの、私、コーヒーでもいれましょうか? ハヅキ様も飲みますよね?」


「あ、はい。町田さん、お願いします」


 ハヅキ様も社長の胸の中でこくこくと頷いてる。

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