××倶楽部

 ハヅキ様は、インスタントコーヒーのカップに息を吹きかけながらそれを飲む。

 社長は、目を細めてハヅキ様を見つめる。


「ハヅキさん、今日は休みますか? お客様には僕から連絡しますよ」


 ハヅキ様は金髪の短い髪を揺らして首を左右に振った。


「ううん、貯金なくなっちゃったし働かなきゃ……」

「そうですか、顔を少し冷やしましょうか? 泣き顔のハヅキさんはとても可愛らしいのですが、泣き顔の女王様は迫力にかけますからね」

「うん……」


 すごい……もう問題解決させたかも……


 社長に言われて、冷凍庫から氷を出すとそれをタオルでくるんでハヅキ様にわたす。また、ありがと、と言って彼女はおぼつかない足取りで部屋を出て行く。


「だ、大丈夫ですか? ハヅキ様」


「大丈夫ですよ。人に言われなくても、自分の失敗を理解してます。ただ、泣きたかっただけですよ」


 キラキラキラリン、と脳内効果音が聞こえてきて、私もなんとなく理解しなきゃいけないような気がした。


「僕と町田さんって、けっこうナイスコンビネーションですね! スミレさんの時も思ってたんですけど、これからもよろしくお願いします」


 って、嬉しそうに言われると、私も嬉しくなってしまうことを……


「さあ、仕事しましょう」


「はい」


 私、社長が好きだ────



 
< 66 / 378 >

この作品をシェア

pagetop