~ Sweet Chocolate ~
休日の所為か、夏休みの所為かショッピングモールは人で埋め尽くされてる。

「アカン、人混みとか本間に萎える。」
「解る。解るけど服欲しい。買うたら、雑誌見に行くの付き合うから、な?」
「ほな、行こか」

我ながら、単純に乗せられたと感じた。
唯一の楽しみが、少し我慢するだけで得られるなら我慢も苦ではない
雅、お気に入りの店に到着し、沢山並ぶ洋服にハシャぐ雅は可愛らしい女の子やと感じる。
僕とは真逆の感性に毎回刺激を受けてる。

「なぁ、これ可愛くない?」

ドルマン型のパーカーを手に取り、自分に合わせ聞いてくる。

「可愛いけど、似たの持ってるやん。夏なんやから、こんなん挑戦したらええやん。」

ミニのフリフリスカートを手に取り、雅に見せる。

「其れは、似合わんやろ!」
「何事も挑戦から始まるんや!て、友亮が言ってた。」
「やからって、フリフリのスカートは無理や!」

あからさまに嫌がる姿を笑いながら見、別のスカートを手に取る。

「ほな、これは?宇宙柄で個性的やし、雅に似合うと思うけど?」

さっきの表情とは打って変わって、ぱーぁとキラキラ笑顔を見せ、即購入。
相変わらずの即決さに拍手を贈りたくなる。
スカートを余程気に入ったのか、ずっと頬を緩ませ、上機嫌で歩く雅の一歩後ろを歩く。
あ、と声を漏らし、振り返る雅を見上げ、首を傾げる。

「次のデートで、このスカート履くからさ。コーディネートとメイクして!」

顔の前で手を合わせ、お願い!なんて言う雅は、恋に一生懸命なんやろう。
親友の頼みを断れる筈も無く、元から断る気ぃも無いけど。

「はいよー。僕で良いなら何でもするよー。」
「楓じゃないとアカンの!次のデートで告白するから、勇気欲しいし。楓の力借りて頑張るねん!」
「そっか。出来る限りの事は全力でやったる!」

ニッと笑って、拳を合わせる。

「よーし!雑誌見に行こ!」

おー!と声を合わせ、再び手を繋ぎ歩き出す。


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