甘い唐辛子
真っ白のシルク生地に、綺麗な何種ものレースがあしらわれた裾はフワリと動く、可愛いドレスだが、髪型・ジュエリーで綺麗とも見える。
目を奪われるとはこのことか、と実感した。
何故か不安そうに見えた霞澄の表情で、俺は無言で凝視していたのに気づいたが、そんなの構わずにジッと見つめ続けていた。
耳は、機能を果たしていない。
ただ、目の前にいる1人の女だけを視界に入れ、頭に残していた。
「…維、十?ど…したんだ?」
やはり戸惑っているのか、霞澄は珍しく噛んでいた。
俺は自然と緩む顔の筋肉をそのままに、軽く首を振った。
霞澄の腕を掴み、ベッドに座らせる。
傍にあった靴を引き寄せて、霞澄の足に履かせた。
「…行くぞ。」
履かせ終わってから立ち上がり、霞澄に手を差し出した。
霞澄は俺の手を握り、立ち上がった。
俺も、霞澄も
何も言わないまま玄関へと行き、車に乗り込みパーティー会場へと向かった。