あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「悪い、遅れた」

約束の時間から1時間半

霧島君が息を切らして、公園に入ってきた

見慣れない普段着姿の霧島君が、目の前に立っている

私は目を大きく開けると、肩で息をしている霧島君の顔を見つめた

…来たっ

霧島君が、本当に来たよ

「何で、そんな顔してんだよ」

霧島君が、不思議そうな表情をした

「だって来てくれるなんて思わなくて」

「手紙、書いたろ」

「ん、でも、来ないと思ったから」

「なんだ、そりゃ? 来ないと思うなら、書くなっつうの」

「そうだけど…でも、ケジメだから」

「理由わかんねえ」

霧島君がガシガシと髪を掻き毟った

「…で、話したいことって?」

霧島君が、首を傾げた

私は、『ん』と小さく頷くと、手に持っている鞄の取っ手をぎゅっと握りしめた

心臓音が激しく鳴りたてている

緊張で口が渇いて、咳が出そうになった
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