あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
霧島君が突然、クスクスと肩を揺らして笑い始めた

「高校んときも、タクシー代で園崎が必死になってたよなあ」

「だってあれは、私が無理やりタクシーに乗せたから」

「そうそう! 園崎は頑固だよな。俺だって、男だよ。女子から金を貰おうなんて思わねえよ」

霧島君が、路地を曲がって大学とは逆方向に足を向ける

「あれ? 霧島君、大学はあっち…」

「駅まで送る」

「部活は?」

「まだ平気。駅までの時間を考えて、店を出たから」

「そんな、悪いよ。私、別に一人で駅まで行けるし」

霧島君がまたクスクスと笑った

「ほんと、園崎って面白いな」

私は首を横にたおした

霧島君がどうして笑っているのか、よくわからない

面白いって…なにが?

霧島君はバスケの部活中で、それを抜け出して来てるわけだから…駅まで送ってもらうなんて申し訳ないって思うわけで

「霧島君、どうして笑うの? 私、面白いことなんてしてないよ」

「いや、悪い。園崎が相変わらず真面目だからさ。三崎だったら、家まで送れって騒ぐから」

「三崎さんが?」

「ああ、あいつ、我儘すぎ」

霧島君がポンポンと私の頭を優しく叩いた

三崎さん、霧島君に送ってもらってるんだ……
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