あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
 霧島君が手の中にある切符を見てから、「わかった」と呟いた。

 再度、私に手を振ってから、改札を通ってホームへと降りていくのを私は見届けた。

 私はさっきまで座っていた椅子に座って、赤くはれ上がった足先を眺めた。

 私は、嘘をついた。

 タクシーで帰れるほどの金額を、財布の中に持ち合わせていない。

 合コンに参加するのに、急きょ買った洋服やらサンダルやらで、財布の中はからっぽ。

 足が痛くても、私はタクシーに乗って帰れないのだ。

 足を引きずりながら帰らないと。霧島君が気にしてたから、タクシーで家につくくらいの時間に、メールをしよう。

 そうすれば、きっと霧島君は疑わない。

 足のことを気にせずに、明日のバスケに集中できる。

「よしっ」と私は気合いを入れると、立ち上がった。

 可愛いサンダルに目を落とす。

 ヒラヒラのワンピースも視界に入る。

 霧島君はどういう女性が好きなんだろう。どんな格好をしている女性を見て、「可愛いな」とか「綺麗だな」とかって思うのかな?

 私、霧島君が「可愛い」って思えるような女性になりたい。
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