愛するということ
「・・・!」



瞬の目が驚きでパッと開いた。

次の瞬間、突き放そうと必死で俺の胸を押す。
俺は、更に瞬を抱きしめた腕に力を入れる。



唇から、瞬の悲しさ、寂しさを全部奪い取りたい。




俺は、必死で瞬の唇を塞いでいた。
いつの間にか、突き放そうとしていた瞬の腕が、俺の背中をギュッと掴んでいる。


それに、気付いた時フッと俺の力が抜けた。
ゆっくり瞬の唇を離す。




「隼人・・・」




まっすぐに見つめる瞬の目は、涙の向こうに、驚きの色が溢れ出していた。
今、塞いでいた唇からは、新しい血がジワっと滲んでいる。

< 110 / 217 >

この作品をシェア

pagetop