親友ときどき上司~熱風注意報~


 自分の方が胃袋を掴まれている事に気付いた瑞希は、困ったように笑った。


 荘司が居なくなったら私、何食べるんだろ?

 おそらく適当な物を食べるだろうが、それは酷く寂しい事のように思えてならなかった。


「子供と言うより、ペットかも。」

 すっかり餌付けされたペットだ。

 それも、悪くない。

 癒やし効果はあまりないがペットになろうか?

 チラリと放り出したナイトウェアを見て、

「アレ着ても癒されないか。」

 弁当箱を洗いながら、ぐるぐると可笑しな考えを巡らせる瑞希は、自分の滑稽さに馬鹿馬鹿しくなる。


 溜息を吐いたと同時に鳴りだした電子音にビクリと体が震えた。

 すぐに電話の音だと分かったが、瑞希は心臓を押さえてもう一度大きく息を吐いた。

 荘司の部屋の電話だ。

 勝手に取る訳にはいかないので、瑞希はリビングの隅に置かれたそれを黙って見つめた。

 やがて、留守番電話に切り替わり機械的なアナウンスの後、電話の相手が話し出す。


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