親友ときどき上司~熱風注意報~


「私って、結構したたかな女だったんだ。」

 自分に対する新発見に笑い、手に持つウェアを放り出すと、弁当箱を手に取りキッチンへ向かった。


 荘司に言われた通りに夕飯を食べなければ、説教が待っている。

 せめて、荘司に自分の事はちゃんと出来ると思われたい。

 子供のように甘えていてはいけない。

 大人の女として見て欲しい。


「…その第一歩が食事ってのが悲しい。…これじゃ、荘司が子供扱いするのも納得。」

 空っぽの弁当箱をじっと見つめる。


「…お弁当は作れないなぁ。荘司の胃袋を掴む作戦は却下。」

 元よりあまり食に興味のない瑞希は、ほとんど料理をしないのだから弁当どころではなかった。

 社会人として人間として食べなければならないから食べる。
 その程度の感覚なので食べる事を忘れるのも珍しくない。

 勿論、美味しい食べ物は好きだが、なければ何でも良くて執着しなかった。

 だが荘司の料理だけは、代替が効かない。

 今日、リクエストしたベイクドチーズケーキにしろ、荘司のレパートリーの中で食べたいと思った物は、絶対に代わりはなかった。


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