親友ときどき上司~熱風注意報~


「やっぱり、夕飯食べてない。」

 いつの間にかウトウトしていた瑞希は、荘司の声に顔を上げた。

 時計を見るとあの電話から20分も経っていない。

「気になって寄ってみれば、予想通りね。」

 ぼんやりしている瑞希の前に立つ荘司は、片眉を上げていつもの溜息。

「何でいるの?彼女は?」

 瑞希の言葉に、荘司が首を傾げる。

「寝ぼけてるの?」

「空港、行かないの?」


 瑞希の髪を撫でた荘司の指先が一瞬止まる。すぐにまた撫で出した指先を瑞希はゆっくり払った。

「反抗的ね。」

 払われた指を眺めながら、荘司は笑う。

「早く行けば?待ちくたびれてんじゃない?」

 これじゃ拗ねた子供だ。分かっていても棘のある言葉しか出ない。

「怒っている理由は何?」

「怒ってない。」

「じゃ、何で拗ねてるの?」

「拗ねてない。」

 可笑しそうに問い掛ける荘司に、瑞希は抱えた膝に頭を埋めた。

 再び瑞希の髪に触れる荘司の指を、瑞希は頭を振って嫌がる。


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