親友ときどき上司~熱風注意報~


「チッ…」

 玄関をチラリと見た荘司の舌打ち。

「もう、いいよ。来てくれて、ありがとう。」

「このバカ!鍵しめなさいって言ったでしょ!!」

「間に合わなかったの。」

 ラグの上に寝ころんだまま、瑞希が力無く笑う。

 隼人が入って来た時の恐怖が、安心と同時に思い出されて、瑞希は両腕で顔を隠した。


 瑞希の側に座った荘司が、ソファーに置いてあったブランケットをかけてくれる。


 そのまま、しばらく瑞希の傍らに座っていた荘司が、

「悪いのはアタシね。

瑞希、怖い思いをさせて、ごめん。」

と、ポツリと言った。

 違う。荘司が悪いんじゃない。

 荘司は部屋を出た後も、守ろうとしてくれた。

 助けてくれた。


 荘司がいたから、自分はこの程度で済んだんだ。


 ちゃんと、ありがとうと伝えたくて、体を起こした瑞希は、肩と背中に鈍い痛みが走り息を止めた。



 
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