親友ときどき上司~熱風注意報~
「荘司?」
氷を入れ水を張った洗面器を床に置く。
タオルを浸け固く絞ると、それを瑞希の肩から背中にかけた。
冷たさに肩を震わせると、タオルの下に鈍い痛み。
「…赤くなってる。少し冷やしなさい。…ここも。」
一緒に持って来たらしい保冷剤が、瑞希の頬に充てられた。
「ありがと。」
保冷剤を持つ荘司の手に、片手を重ねた瑞希は、声を出した途端にしゃくりあげるように泣いてしまった。
瑞希の体を労るように、荘司の片手が抱き寄せてくれる。
痛くないように、そっと包み込まれる暖かさに、瑞希は子供のように泣いた。
時折、瑞希の髪を梳き、頭を撫で、そっと額にキスをする以外、荘司は何も言わず、ただ瑞希の側にいてくれた。