親友ときどき上司~熱風注意報~


 ひとしきり泣いて落ち着いた頃には、肩や背中の痛みも軽くなった気がした。


「立てる?とりあえず、シャワー浴びて着替えて。余り温まると良くないから湯船はなしね。」

 ゆっくり離れた荘司が、ブランケットで体を包み直し立たせてくれる。

「うん…あの、荘司…」

「帰らないから、安心して入ってきなさい。」

 瑞希の不安を察知した荘司が、先回りして言う。


 ホッと胸をなで下ろし、荘司に連れられてバスルームに向かった。

「いい?温まる前にさっさと済ませてよ?」

「はいはい。」

 怪我を心配して言う荘司に、照れくささから唇を尖らせて返事をした。

 端正な顔に呆れたような表情を浮かべた荘司は、そのままバスルームを出て行った。


 1人になって、洗面台の鏡を見ると、蒼白な自分の顔が映っていた。

 左頬が赤い。

 右肩には紫色の痣。

 振り向くように鏡に映した背中は、服を引っ張られた時に擦れたのか、無数の掠り傷と内出血の痕。




 
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