親友ときどき上司~熱風注意報~


「ひどい顔…」

 呟いた途端に、止まったはずの涙が浮かんでくる。

 慌てて頭を振ると、残っていた服を脱ぎ捨てた。




 何も考えないようにしながら、メイクを落とし、全身を洗い流す。




 荘司の言い付けを守って、さっさと済ませて脱衣所に出た瑞希は、そこに新しい下着と瑞希愛用の白いレースを縁取ったバスローブが置いてある事に目を見開いた。


「…勝手にクローゼット漁らないでよ。」

 瑞希は持ってきた覚えのない着替えに、1人笑った。

 脱ぎ捨てた洋服も跡形もなく消えている。

 どんだけ、世話焼きなんだ。
と、苦笑しながら着替えを済ませた。







 髪を乾かすのも適当に、親友のいるリビングへ向かうと、すっかりそこは片付けられ元の空間を取り戻していた。

 リビングから玄関へ続く扉の横に、ゴミ袋が1つ。
 半透明のその中身は、置いてあった隼人の持ち物。

 
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