親友ときどき上司~熱風注意報~


 初めて訪れた荘司の部屋は、モノトーンを基調にしたシンプルな3LDKの間取りだった。

 リビングを中心に、寝室とディスクの置かれた部屋が見える。
 どこにも無駄なインテリアはなく、機能性だけを求めて配置されていた。

 ただ、リビングと対面式になったキッチンは、男の一人暮らしとは思えない程に充実している。
 立派なオーブンレンジやスタンドに立てられた包丁の数。
 妙にカラフルな鉄製の鍋。

 温め機能だけの電子レンジに、万能包丁1本と、フライパンとケトルくらいしかない自分のキッチンを思い出して虚しくなった。

 ここで毎日、弁当を作っているのか、と思うと少し気恥ずかしい。


「ほら、もう寝なさい。」

 寝室に瑞希を押し込み、瑞希の荷物をそこに置くと、荘司は扉を閉めようとする。

「えっ?荘司は?」

「アタシはシャワー浴びて、明日の弁当の仕込みよ。」


 ピシリと瑞希の額を弾いた荘司は、肩を竦めて笑った。

 髪を撫で梳かれて、優しく微笑まれる。


 
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