親友ときどき上司~熱風注意報~
そのまま荘司は踵を返して、バスルームに行ってしまった。
やがて微かにシャワーの水音が聞こえ、我に返った瑞希は慌てて持ってきたナイトウェアに着替える。
一旦はベッドに入ったものの、落ち着かない。
独りになると急に不安が襲ってくるようで、何度も寝返りを打つ。
俯せになった時、フワリと荘司の香りがした。
寝具から漂う香りに、今度は別の意味で落ち着かない。
いや、落ち着くけど落ち着かない。不思議な感覚。
駄目だ。
ここにいると何か恥ずかしい!
荘司のキスに溺れた事に、琥珀色の瞳で見つめられた事を思い出し変な気分になりそうな瑞希は、ガバリと起き上がるとリビングへと向かった。
黒い革張りの大きなソファー。
3人掛けの立派なそれの端っこに両足を抱えて座る。
座り心地の良いクッションは、瑞希の体を優しく受け止めた。
足を抱えたまま、コロンと横になった瑞希は、更に小さく丸まるように瞼を閉じた。