親友ときどき上司~熱風注意報~


 ハンカチを取り出した塚野は瑞希の胸元を拭こうと手を伸ばす。

 その手がピタリと止まり、今度は塚野の顔が赤く染まっていくのを、瑞希は見上げた。

 赤い顔で瑞希から瞳を逸らした塚野は、ハンカチだけを瑞希に差し出した。

 それを受け取り、自分の胸元を見た瑞希は、塚野の態度の理由を知る。


 冷め切っていたとは言え、かなりの量のコーヒーを浴びたそこは、ブラウスを完全に透けさせその下の白いレースのブラジャーを露わにしていた。

 今日に限ってインナーを着ていなかった自分を後悔する。
 おまけにスーツのジャケットは会議室には着て来なかった。

「あー、下着にもコーヒー染みちゃった…」

 恥ずかしさはあるものの、この歳で騒ぎ立てるのはみっともない気がして、瑞希は苦笑した。

 自社製品のブラジャーはデザインも可愛い上に、形良くバストをホールドしてくれるので瑞希のお気に入りだ。

 隣から荘司の大きな溜息が聞こえる。

「ほら、これ着て。」

 自分のジャケットを瑞希に着せた荘司は、胸元を隠すように前を合わせてくれた。


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