monopolize
あたしはただ前を見据え、龍二の横を通り過ぎる為、足を進めた。



ドクン、ドクン…。



近付くにつれ、速くなる鼓動。



『………』

「………」



目すら合わさずに、そのまま通り過ぎて行く龍二。



“何よ…”



あたしなんかもうどーでもいいみたいな顔して…。

ムカつく…。



『大丈夫?』

「全然へーき…」



だと思ったのに、頬を伝う涙…。



「本当に…平気…なんだから…」

『麗奈…』



あの瞳も、指先も、意地悪な言葉も、全部全部大好きだった。

あたしは本気で恋してたのに…。



「お願い…」



行かないで…。

1回でいいから、あたしをちゃんと見てよっ!!!!!



『ちょっと借りるわ』

『は?ちょっ、先輩っ』



後ろからグッと手を引かれたかと思うと、反転したあたしの視界に映り込んだのは見慣れた後ろ姿。



「龍二っ!!?」

『んだよ?』



不機嫌な声。

ただ前を見据え、あたしを引っ張りながらどんどん歩いていく。



「ちょっ、どこ行くの?」

『うっせーな、黙ってろ』



引かれるままに歩くと、小さな資料室へ入った龍二は、ドアを乱暴に引くと“ガチャッ”と鍵を閉めた。


 
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