* promise *
部屋に行くと、テーブルに置かれていた一通のハガキ。

手に取って見ると、高校時代の友達からの結婚の知らせだった。

とても幸せそうに写る写真に“おめでとう”そう呟くと、伏せてそっと戻す。



心から祝福してあげたいけど、今の私には出来そうにない。

この現実を受け止めるだけで精一杯だ。



ベッドに倒れ込むと、なにをするわけでもなく枕に顔をうずめる私。

しばらくすると、いつもの様にヒロからのメールが届いた。



〔今、着いた。梨子は飲み過ぎてねーか?〕

〔大丈夫…。あのさ、幼稚園の時の約束覚えてる?〕

〔あぁ…、覚えてるけど?〕

〔そっか…〕

〔なんだよ、急に。〕

〔なんとなく、聞きたかっただけ〕










“僕、大きくなったら梨子ちゃんと結婚する”

“え~ほんとに?”

“うんっ!!”

“じゃあ、約束!!”

“約束っ!!”












幼稚園の時にした約束。

所詮、子供同士の戯れ事だって思ってた。



〔もし、ババァになっても相手がいなかったら約束守ってやるよ〕



それなのに、ヒロからの思いがけないメールに。


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