* promise *
「バカじゃないの…」



携帯を握りしめると、私は家を飛び出した。

溢れる涙も不思議そうに私を見る通行人も気にせず、ひたすら走る。










「ヒロっ」



チャイムを鳴らす事もせず玄関を開けると、目の前には携帯を眺めるヒロがいて。



『相変わらずズカズカうるさいね、梨子は』



パチン、と携帯を閉じポケットにしまう姿を見ながら、何故かまた涙が溢れた。



「あんたがあんなメールするからじゃない」

『そうだな…』



ポツリ呟くと、ギュッと抱きしめられ“梨子の相手出来んのは、俺だけだと思うけど?”って、悪戯に笑う。



「…そんな事ない」



否定はしてみたものの、やっぱり一番の理解者はヒロで。



『何年幼なじみやってっと思ってんだよ』



そっと私の身体を離したヒロは、涙を親指で拭ってくれた。

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