tearless【連載中】
「思い出さないよ…」



ただ、冷たい瞳を見るとふと現れる。

この1ヶ月、璃琥はそんな瞳を私に見せなかった。

笑う事も増え、違う人じゃないかと思える程。



『…そろそろ昼休み終わるな?』

「うん…」



確信を衝く事をしないまま、いつもこんな会話ばかり。

何で、聞かないのかな?

私が、言うのを待ってるの?

ホッとしてる自分と、言わなきゃと思う自分が入り混じり、モヤモヤして晴れない心。

璃琥の事だから、こんな私の心を読んでるだろうね?

嘘を吐けない事は、充分分かってるし…。



『大丈夫だから、あんま無理すんな』



ほらね?

私の顔を見ただけで、何を考えてるか分かってる。

もしかしたら、祐樹との事も分かってるのかも知れないね?

だから聞かないのかな…?



「無理なんかしてないよ。…あの…さ…、」



体を起こし、未だ床に寝そべる璃琥に視線を移すと、一つ深呼吸をした。

深呼吸して、言葉を出そうとした時、タイミングよく鳴り響くチャイム。



『何?』

「ん、いいや…」



璃琥もゆっくり体を起こすと“かったり―な”と髪を掻く。

ダルそうな横顔も、すごく綺麗でつい見とれてしまう。


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