tearless【連載中】
『家で作った飯食うの、どれ位振りだろーな…』



肉じゃがを見つめ呟く。

その顔は、懐かしむ様にも哀しんでる様にも見えた。



「バイトが休みの日は、作ってあげてもいーよ?」



“もっと料理勉強するし”そう付け加えると、お箸を持ちマリネを口に運んだ。



『可愛くねーな?』

「お互い様でしょ?」



こんな感じで始まった夕食。

私達の間に“甘い”という言葉は存在しないんじゃ無いだろうか…。

…元々そんなモノ望んではいないけど。



「どう?」

『食えんじゃね?』

「あっそ…」



そう言いながらも、綺麗に全部食べてくれた璃琥。



“それで充分…”



甘い言葉なんか無くても、ちゃんと伝わるから。

寧ろその方が璃琥らしい。



食べ終わった食器を片付けながら、またソファーで煙草を吸っている金色の髪に視線を預けた。



『葵…電気消して』

「また…?」



…いつもそう。

必要以上に電気を消したがる…。



―パチッ...

スイッチを押すと、リビングの明かりは消え一気に暗闇に包まれた。

そして、TVの横にある少し大きめのスタンド。

これを付ける。


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