tearless【連載中】
「な…ん…」



“何なのよ?”と言いたかったけど、言葉が上手く出て来ない。



『なんで、俺の事避けんの?』



そう言うと、加えた煙草に火を付けた璃琥は、また体をソファーに深く沈めた。

それをただ茫然と見つめる私に“祐樹って奴のせい?”と追い討ちをかける様な言葉を投げかける。



「祐樹は…関係…ない…から…」



そう言うのが精一杯で、それきり黙り込んだ私。



静かな空間に雨音がやけに大きく響く中、時々灰皿に灰を入れる為動く璃琥の姿だけが私の視界にぼんやり映し出されている。



『学校で何かあった?』



フィルター近くまで短くなった煙草を灰皿に押し付けると、静かに私を見つめる璃琥。



「そんな事聞いて…どうする訳?」

『いいから答えろ…』

「………。」



顔色一つ変えず私を見る璃琥に戸惑いを隠せない。

その瞳にはどんな風に私が映し出されてるのだろう?

全てを見透かした様なその瞳は、やっぱりアイツに似ていて背筋に冷たいモノが伝った。


 
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