tearless【連載中】
『らしくねーな』

「うるさい…」



なによ!!

人がせっかく素直に謝ったのに…。



膨れっ面を浮かべていると“ガキ”と頬を摘まれた。

しかも無表情で。



「痛い…」



手を退かそうと腕を掴むと“何かあったら俺んトコ来い”と掴んでいた腕を逆に掴まれた私。

額に触れた時冷たかった手は、温かくなっていた。



「なん…で…?」

『素直に“分かった”って言えねーの?』

「だって…」



璃琥が何考えてるか分かんないんだもん。

私の気持ちはもう知ってるんだろうし“俺んトコ来い”なんて言われたら期待しちゃうよ?



『放っとけねーっつったよな?』



その言葉に記憶を巻き戻す。

確かに、あの曲がり角辺りで言われた…。



「うん…。言った…」

『お前、意味分かってる?』

「分かるよ。何?はっきり…」



“言ってよ?”という言葉は、璃琥の唇によって塞がれてしまった。

突然の事で目を開けたままの私の視界に映し出されたのは、金色の髪。



『これならバカでも分かるよな?』

「…なっ、バカって…」



少し距離の出来た璃琥の顔を見るなり頭が真っ白になった。


 
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