tearless【連載中】
『何か食いたいもんある?』

「…特に無い」

『俺、ピザ』

「決まってんじゃん…」



そうボヤくと、ソファーから離れた璃琥は“携帯取ってくる”と、また部屋に向かった。

1人取り残された私は床に置きっぱなしだった鞄を思い出し、ふと後ろを向く。



「中…濡れてるかも」



紺色の鞄はワントーン色が落ち、水分の重みで潰れる様に横たわっていた。

立ち上がると、鞄の場所に行きダイニングテーブルを借りて中身を取り出す。

財布に化粧ポーチ、携帯、鏡など小物類が数点。

教科書などは入っているハズも無く、意外と中身のない鞄。

少し湿っていたけど、殆ど大丈夫だったみたい。



「良かった…」



安堵すると“40分位かかるらしい…”と、明らかに不機嫌オーラを纏った璃琥が携帯を握りしめ私の元に来た。



「ピザって、普通それ位掛かるじゃん」



そう言葉を漏らせば“腹減ってんだよ”と、ガキみたいな事を言う。



「璃琥もガキじゃん…」



そう言う私に冷たい視線を送ると“携帯”ふとテーブルに視線を落とした璃琥。


 
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