tearless【連載中】
「そういえば、知らないね…」

『ん…』



私の白い携帯を2人で見つめ、暫しの沈黙。

璃琥の携帯に目を遣ると、黒のストラップも何も付いてないシンプルなモノ。

私もストラップは付けないので、共通点が見つかりちょっと嬉しくなった。



「番号知りたい」



素直にそう言うと、携帯を開いた璃琥は“赤外線付いてるよな?”と一瞬私に視線を移す。



「付いてる」



テーブルの上から携帯を取ると、お互い番号とアドレスを交換した。



『俺、バイトしてっから夜出れねーかも』

「バイト?してんだ…」



意外だった。

働くってイメージが全く湧いてこない。

まさか、夜の仕事って…。



ジーッと璃琥を見つめると“ホストとかほざくなよ?”と、また心を読まれた私。



「違うか…」

『お前、俺の事どう見てんだよ?』



はぁ…と、溜息をつくと“カラオケ、駅前の…”ボソッと呟いた。



「駅前?」



駅前っても2、3軒ある。

どこだろう…?

考え込んでいると“教えねーし”と意地悪く笑った璃琥。


 
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