恋愛温度(番外編も完結しました)
妙に居心地が悪かったのを覚えている。


綺麗な四角い白い部屋に白い家具。

塵一つなく磨かれた部屋。

そこのソファーに座らされていた。


粘っこい視線が俺の一挙手一投足を見つめていた。



「僕もう帰らなきゃ、ママが心配するから。」



「ママ?ぼうや、可愛い坊や。何にも知らないのね?

 あなたのママはここにいる私よ。

 あの人はあなたのママじゃないのよ。」


女はクスクスと笑いながら


俺の顔に手を当て耳もとでそっと囁いた。



「あの女はあなたのママじゃない。ママは私。」



まるで呪文のように何度も何度も、



「うそだ!」



大声で叫びその無機質な白い部屋を

裸足のまま飛び出した。
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