神様修行はじめます! 其の二
あたしひとりでオタオタしちゃってもう、バカみたい。

わざわざ弁解するのも、逆に恥ずかしいし。


門川君ってば!

お願いだからそんなセリフを、経済新聞でも読んでるみたいにして言わないでよ!

どーゆー顔して聞けばいいのよ。対応に困るんだってば。


いたって普通に食事している彼を見て、つくづく思う。

本当にズレてるというか、段差と温度差の大きい人ね。

いちいち表現方法が極端すぎる。

しかもいちいち適切さを欠いてるし。


これって進展なのかなぁ?

自分の気持ちを、正直に口に出すようになったのは良い傾向なんだろうけど。


本心を言われるたびに悶絶してたんじゃ、身が持たない。


「小娘よ、ほんにすっかり元通りのようで良かったのぉ」

「・・・おかげさまで」

からかい口調の絹糸の声に、顔を赤くしながら答えた。


「元通りどころか、一歩前進のようじゃの」

「前進って、言えるわけ?」

「少なくとも後退ではあるまい」

「そりゃそうだけど・・・」

「後退でも停滞でもないなら、それは前進じゃよ」

「・・・・・」

「たとえ、長い道のりの一歩だとしてものぉ」

「・・・うんっ」


絹糸、ありがとうね。

金色の温かい目に、あたしは感謝した。
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