神様修行はじめます! 其の二
あたしは両足を開き、体を安定させて立つ。

そして一気に精神を集中し始めた。

そのあたしの様子を見て、門川君の目が見開かれる。

あたしが、お兄さんを滅っするつもりなのに気がついたんだ。


ごめん、門川君。気持ちは痛いほど分かるつもりだよ。でも・・・。


あたしの、そしてあたし達全員の譲れないものを、門川君は理解してるよね?


絹糸や子猫ちゃん、権田原の民達。

お岩さん、当主さん、セバスチャンさん。

ここであたしが怯んでしまったら・・・

会わせる顔が無い。


決意したんだ。前に進むって。

どんなに重い荷物でも、背負って前に進むって。

そしてあなたを守りきるって。


譲れないんだよ。それだけは譲れないんだ。


あたしと門川君は見つめ合う。

彼は素早い動きで身をかわしながら・・・微かにうなづいた。

哀しげだけれど、しっかりした目をして。


あたしも彼に向かってうなづき返した。

精神がどんどん集中し、体温が高まってくる。

鼓動が早い。

全身の血液が、熱く、素早く駆け巡って・・・


! あたしは胸元を手で押さえて体をかがめた。

苦しくて苦しくて、体が震える。


息が・・・呼吸が、続かない!


滅火の力を発動させるためには、体中の血を熱く沸き立たせる必要がある。

体は、100メートルを全力疾走するみたいな状態になる。

呼吸もせずにそんなマネしたら・・・

呼吸が、体が持たない!!
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