幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
小野寺の意図が分かったのだろうか。
沖田は目を細めた。



「じゃあ、またね。おのでらん。気をつけて」

ゆっくりと立ち上がり、大きな手のひらで小野寺の頭を撫でた。




「………うん」

「…それと、」






………………え?



小野寺は、目を見開いた。
体温を感じる。






「ちょ、また……!」

「すきだよ、おのでらん」



沖田の表情は、見えない。








「大好き、おのでらん。世界の誰よりだいすき」






沖田は今、どんな表情をしているのだろう?


「……………うん」





何でだろう。すごく寂しい。


気が付くと、小野寺の視界がぼやけていた。
抱擁を交わしていて良かったと思った。



泣いていることが、バレないから。




< 553 / 693 >

この作品をシェア

pagetop