幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
………!?


ぱっと上を見る小野寺。



「何を言っているんですか。からかわないでください」

「以前貴女が長州へ来たとき、少し驚いたんですよ」にやり。





「なんて美しい女性がこの世にいたものか、と…」


木戸の指が小野寺の白い肌を撫でる。




「…………何を言っているのですか?」

「貴女は、強い」




健気で、強かだ。
彼は続ける。



「賢そうな貴女がそこまで新撰組に肩入れする理由を私は問いているのですよ。小野寺さん」

















なんで、か。





「あえて言うなら、私には持っていないものを持っていること。それと、私は持っていて彼らには持っていないことがあること」

「……持っていることと持っていないこと?」





ああ、と小野寺は静かに目を瞑った。







「彼らはね、人を殺すことに対して感情を持っていなかった」




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