幕末トリップガール~陰陽少女と新撰組~
「ふふっ」
男は、俺に歩み寄った。



「それはね―――…」














ただ自分があの世界から消えたかったから、


ただ自分が必要とされたかったから、



ただ自分が愛されたかったから、









――――――
―――




「自分のことしか考えていない俺の、それだけの理由のために、俺はここにいる」

青蓮院は、クスクスと自嘲する。


「……………」

「だから俺は、小野寺姫のように未来から来たけど、未来へ帰る術は持っていない。俺は死ぬために過去に来たんだ」

「……………」


「俺は、そいつに感謝しているんだよ?」

にっこり。




「小野寺姫が改ざんした過去を、少しでも本来の歴史に近付ける。それだけで俺はこの世界にいれるんだから」だから、


「だから、土方サン」







青蓮院碧は、式神にふっと息をかける。





――「ここで、死んでくれないかな?」















青蓮院碧は、飛び出した。


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