夏の月夜と狐のいろ。
シアンは驚いてクロを見た。
「殺されちゃうのよ・・・!?」
クロは深く俯いた。
その表情は牢屋の闇に溶け込んで見えない。
クロは嘲笑するかのように小さく笑う。
「死んだってかまわない。シロはもうどうせもとにはもどらないんだしな」
シアンは何も言い返せなくなって黙り込んだ。
早く・・・早くここから逃げ出さないといけないのに!
シアンが必死になって考えていると、ノエルがクロにきつい口調で話しかけた。
「ねぇ。君の事や状況は俺にはよくわからないけどさ。
君が死んだら君のその友達を、誰が助けるわけ?」
ノエルがそう言うと、クロがばっと顔をあげた。
一瞬睨むようなそぶりをみせたが、クロはすぐその目をふせた。
赤い瞳が悔しそうにゆれる。
「そうだな・・・。僕しかいない」
クロがそういうと、ノエルは頷いた。
シアンはノエルを見上げて、微笑んだ。
―ノエルはやっぱりすごい