夏の月夜と狐のいろ。



シアンは恐怖で目をつむる。

けれど、次の瞬間クロはぐるりとシロの背後にまわりこみ、その白い体を押さえつけていた。


クロの体とシロの体の能力は、ほぼ同等だ。
シロも簡単には動けないらしく、小さく唸りながら体を振っている。


その光景を驚いてシアンが見ていると、すぐ傍でぱらりと本をすばやくめくる音がした。



ぴたりととまったページにノエルが手をかざすと、ふわりとその文字が浮かび上がった。


まばゆい、光。


ノエルの手元で白っぽい光が踊り、くるくるまわる。


そしてその光はシロの目の前でパリンとはじけた。


『う・・・』


シロが、小さく唸った。
シロの瞳が閉じられ、ふらりと横様に倒れこむ。




何をしたんだろう・・・?



クロはちらっと名残惜しそうにシロの傍から離れるとこちらに戻ってきた。


「ねぇ、なにをしたの――きゃっ!?」



途中まで言いかけたところで、体ががくんと沈む。

ノエルが、ひざまずいたのだ。


ノエルは肩で息をしながら、苦しそうにしている。
首筋にはびっしょりと汗をかいていて、顔色も悪かった。


「ノエル!?足の傷が・・・!?」



ノエルの足の傷から、血がどくどくとあふれ出ていた。


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