夏の月夜と狐のいろ。
「ラシッド・・・!」
シアンはさっとノエルの前にかばうように立つ。
昨日ラシッドに負わされた怪我のせいで、クローンをつくられたせいで負った怪我のせいで、体が痛む。
でも、ここまで来てくれたノエルを守らないと・・・!
クロが、傍でかまえているのがわかった。
「随分と反抗的だな。まったく、誰だ?こんな事態をおこしたのは?」
そう言ってラシッドはシアンの後ろを覗き込んだ。
そして、興味深そうに赤い瞳を揺らして笑う。
「おや、これは不可思議だな。人間がこいつらみたいな人外を助けにくるとはな・・・
それに、おかしいな」
ラシッドは一息おいて、口の周りをなめる。
「よりにもよって、俺に従順なはずの魔術師じゃないか」
シアンはちらっとノエルを見た。
ノエルは燃えるような瞳でラシッドをにらみつけていた。
―ノエルが使っていたあれは、魔術?