オレンジどうろ




「今日ね、入学式に引っ越しが間に合わなかった子が登校してくるんだってさ」

「優しい子だといいわね」

お母さんの言葉に私はうん、と頷いた。

私は学級委員に所属していて、先生に今日の放課後に校内の案内を任された。


私は勝手にどんな子かな、と想像しながら家を出た。


男の子かな、女の子かな。

どんな性格なのかな。


電車の中でもそれだけを考えていた。

教室に足を踏み入れ、席につく。

「スミレおはよう!」


後ろから突進しながら挨拶をするこの子は、三上彩。高校に入ってからの友達。

「彩ちゃんおはよっ、毎日突進するのやめようか」

頭を軽くポコン、と叩く。
ハーイ、と可愛い返事をする彩ちゃんにキュンッ。


いや、勘違いしないで下さいね。
レズとかじゃないですから、男の子が好きですからね。


彩ちゃんと話していたら、鐘がなり先生が教室に入ってきた。


「今日は、入学式に引っ越しが間に合わなかったお前らのクラスメイトを紹介する。平田ー」


先生が扉の向こうに声をかける。

周りは平田ってどんな子か話している。
私は今日の登校中考えまくったから充分だ。


呼ばれたのになかなか入ってこない“平田”さん。

先生がもう一度名前を呼んだらはいはい、と元気な返事と足音が聞こえた。



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