オレンジどうろ




先生の指の先の私を平田くんは見てなぜか固まった。

何かボソリ、と呟いて急に私のもとにきた。


黙ってこちらを見ているので、挨拶しようと私は席を立った。


「学級委員長の「すーちゃんっ!」

名前を言おうとしたら平田くんに遮られた。

すーちゃん?

人間違え?


「人間違えじゃないですか?私すーちゃんじゃないですよ?」


そういえば、うっそだー、と平田くんが返した。

「絶対すーちゃんでしょ?俺覚えてないの?平田ユウガだよ!」

「今、自己紹介で聞いたから名前は覚えたよ?」

「はぁっ!?マジで言ってんのすーちゃん!俺、10年間すーちゃんとの約束だって忘れなかったのにぃ」


すーちゃん?

約束?

やっぱり人間違えしてるよ平田くんっ


「私は松本スミレ!あなたのことは初めて知ったわ」


少し大きめな声で言った。

平田くんは目を見開いた。

「ま...つも、と?」

信じられないのか周りの子に確かめてる。


「そっか...。人間違えだったみたい...、ごめんなさい」


ガックリ、というかショボン、というか...。
反省したようで頭を下げてきた。


「いやいや!こっちこそ強くいいすぎたっ、ゴメンね」


ゴタゴタはそこで終わった。



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