RUBY EYE

「・・・・・・」


十夜は呆然として、目眩さえ覚えた。


「今は、家にいるけど・・・・・・。・・・・・・十夜に会いたがってる」


こんなこと、本当は言いたくない。

誰よりも摩耶に会いたくないのは、十夜なのだから。


「十夜・・・・・・」

「少し、待っててくれ。準備してくる」


十夜は頼りない足取りで、屋敷に戻る。


「・・・・・・月野」


キッチンでコップを洗う月野に、声をかける。


「・・・・・・どうかしたの? 顔色悪いけど」

「出かけてくる」


濡れた手を拭く前に、十夜がその手を取った。


「! 綾織くん・・・・・・?」

「ごめん。少しだけ・・・・・・」


震える気持ちを落ち着けるように、十夜は月野を抱きしめた。


(ちょっと、苦しい・・・・・・)


それは、十夜の心の葛藤を示すかのよう。

月野は、苦しいのを我慢して、十夜の背中に手を伸ばした。


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