RUBY EYE
意外な誘いに、月野は驚いた顔をする。
「10時過ぎに、買い出しに行くから。気分転換にもなると思うわよ?」
「・・・・・・冷蔵庫の中、いっぱいでしたけど」
気遣って言ってくれたのなら、申し訳ない。
「ふふっ。買うのは紅茶の茶葉よ。いくら私でも、必要のないものを買ったりしないわ」
「・・・・・・ついて行っても、いいんですか?」
頷く椿に、月野は嬉しそうに笑い返す。
「椿。俺は一旦、本家に顔を出してくる」
振り返ると、きちんとシャツを着た秦がいた。
「シャツは後で返しに来る。お嬢さん、また」
「あ、はい」
秦が颯爽とキッチンを出ていく。
「本家って言うと・・・・・・」
「綾織―――十夜の実家よ。さて、客間の掃除をしてこないと」
月野に笑いかけて、椿もキッチンから出ていく。
一人になると、不意に恐怖が耳元を掠める。