RUBY EYE

カッターかハサミか、定かではないが、ひどい出血だったらしい。


「・・・・・・誰が・・・・・・」


疑問を口にすると、脳裏に浮かぶのは十夜しかいない。

月野は、ゴクリと唾を飲み込む。


「綾織くんの、許婚・・・・・・だったかな? いつも綾織くんと一緒にいて、ちょっと私は苦手だった」

「許婚? ・・・・・・名前は?」


愛理の顔が浮かんだ。

許婚と言えば、彼女しか知らない。


「確か・・・・・・摩耶。桐条 摩耶だったと思う」

「そっか」


愛理じゃない。

でも、愛理と同じ“桐条”。

安堵と不安が、心の中を駆け巡る。


「あ、ごめんね。こんな暗い話して」

「ううん。・・・・・・」


俯く月野に、美沙子は困った顔をする。


「そうだ! 携帯の番号教えて」

「え?」

「今度、遊ぼ。美味しいお店も知ってるから」

「・・・・・・うん」


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