RUBY EYE
月野は照れたような笑みを浮かべながら、しばらく美沙子と他愛のない話をして過ごした。
迎えに来た椿は、月野が楽しそうに美沙子と話しているのを見て、満足そうだった。
「良かったわね」
「はい! 花村さんが誘ってくれたおかげです」
紅玉館へ戻るため、ふたりは長い坂と階段を上る。
「いつも思うのよね。なんで、こんな高台に住んでるのか、って」
車を出せば問題ないのだが、歩いて行ける距離は歩いて行きなさい、と小野瀬に言われている。
椿は紙袋を持ち直し、気合いを入れた。
「・・・・・・あの、花村さん」
「なぁに?」
こんな時に聞くべきか迷ったが、屋敷に帰れば、聞けなくなりそうで。
「桐条 摩耶、って知ってますか?」
「・・・・・・誰から聞いたの?」
先を歩いていた椿の足が止まる。
振り返ると、ちょうど椿が月野を見下ろす形だ。
「新田さんから。聞いたら、いけなかったんでしょうか?」