RUBY EYE
「いけないわけじゃないけど・・・・・・」
できれば、月野には知らないでいてほしかった、というのが正直な気持ちだ。
「許婚だと聞いたんですけど・・・・・・」
月野が知っている許婚は、愛理ひとり。
「元、許婚よ。愛理の姉で、生きてれば18歳」
「生きてれば?」
椿は、何とも言えない笑顔を浮かべて、階段を再び上りはじめた。
「亡くなったのよ、小学校の事件後。それで、愛理が次の許婚」
事故死したと聞いたが、詳しいことは何もわからないまま。
今思えば、不自然だったのかもしれない。
「どんな人だったか、聞いても?」
「―――十夜を好きすぎたのよ」
椿は遠い目をしながら、過去を思い出す。
可愛らしく、いい子だった。
十夜が関わりさえしなければ。
「早く帰って、お昼にしましょう。今日も暑いから、冷たいものがいいわね」
「あ、はい」