RUBY EYE

吸血した後、その相手の“匂い”がつくことがある。

現に、愛理は十夜が月野の血を飲んだ後、目敏く気づいたのだから。

しかし、十夜はあれ以来、誰の血も飲んでいない。


摩耶が言う匂いは、十夜が抱きしめた月野の匂い―――だろうか。


「十夜? 私以外の女に触れたの?」

「摩耶、落ち着くんだ」


摩耶の瞳が、ゆっくりと赤く染まりだす。


「嫌よ。十夜は私だけ見てればいいの」

「椿だ」


咄嗟に口から漏れた名前に、十夜は心の中で椿に謝る。


「椿? あぁ、あの人・・・・・・」


十夜が紅玉館に住む前から、椿のことは知っていた。

摩耶や愛理も、小さい頃会ったことがある。


「お前が気にするような相手じゃない」

「・・・・・・十夜、私のこと好き?」


目の前で突き付けられた質問に、十夜は言葉に詰まる。

ここで否定するのは簡単だ。

しかし―――。


「愛してる?」

「・・・・・・あぁ」


十夜は悲しく微笑み、摩耶の目を真っ直ぐに見つめる。


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