RUBY EYE
それで大人しくなるのなら、と清香はその日、ずっと摩耶の話し相手になっていた。
日が沈んだ頃、本家から秦が帰って来た。
美鶴への挨拶を済ませると、キッチンに顔を出す。
「しばらく、こっちの世話になる」
「は?」
洗い物の手を止め、椿が怪訝な顔で振り返った。
「坊ちゃんの護衛だ」
「護衛? なんのために?」
秦の顔が真剣になり、椿は嫌な予感がした。
「摩耶が生きていた」
「・・・・・・」
「時臣様が、直々におっしゃられた。間違いない」
椿は驚きを隠せず、視線が知らず泳ぐ。
「嘘でしょ・・・・・・?」
「摩耶が動くとなると、おおよそ坊ちゃんが絡む。そのために、俺を紅玉館へ寄越すことに決めたらしい」
綾織家の次期当主に何かあれば、大変の一言では済まされない。
とは言え、月野の監視の意味も含まれていることを、秦は美鶴にも、椿にも話さなかった。