RUBY EYE
椿の冷めた視線に、秦は苦笑する。
「妹みたいなものだ。手出すわけないだろ?」
「・・・・・・そうね。その気になれば、あんたはより取り見取りだから」
余計な心配だったと、椿は洗い物を再開する。
「俺は、客間を使っていいのか?」
「他に部屋なんてないわよ。せっかく掃除したのに」
ぶつぶつ文句を言う椿の背中を、秦は楽しげに見つめていた。
月明かりだけで照らされた十夜の部屋は、薄暗い。
転ばないよう気をつけ、トレーを机に置く。
「綾織くん・・・・・・?」
うつぶせでベッドに横たわる十夜。
ぴくりとも動かないので、さすがに心配になる。
恐る恐る近づき、声をかけてみた。
(寝てる・・・・・・のかな?)
顔が見えないので、判断するのは難しい。
どうしようか悩んだが、月野は黙って部屋を出ていくことに決めた。
「行くな」