RUBY EYE
部屋を出ようとした瞬間、十夜が小さいながらも強い声で呼び止めた。
月野は踵を返し、ベッドへ戻る。
「起こしちゃった?」
「いや。起きてた」
乱れた髪をかき上げながら、十夜は体を起こす。
「大丈夫? 頭痛がするって、花村さんが言ってたけど・・・・・・」
以前、ヴァンパイアは体が強いから風邪なんて引かないと言っていた。
だから、風邪ではないのだろうが。
「あ、花村さんがおにぎり作ってくれたから」
「・・・・・・」
十夜は俯いたまま、喋ろうとしない。
寝ようとしても、眠れなかった。
摩耶の行動のすべてを責めるつもりはない。
止められなかった自分、そうさせてしまった原因も自分。
けれど―――。
「・・・・・・!」
「熱・・・・・・は無いみたいだけど。大丈夫?」
額に触れたのは、月野の柔らかな手。
十夜が顔を上げると、心配そうな顔の月野と目が合った。