RUBY EYE
摩耶の存在は危険すぎる。
吸血衝動を抑えないことよりも、その身に秘める狂気の方が恐ろしい。
無邪気な幼子のように、自分の欲望に忠実だ。
十夜への独占欲を隠しもしない彼女は、力が強かった。
だから、十夜の許婚に相応しいと判断したのに。
「・・・・・・はぁ」
「お疲れのようですね」
「!」
静寂を破る他者の声に、時臣は素早く身構え振り返った。
「お前は―――」
背後に立っていた人物に、時臣は動揺を隠せずにいた。
中性的な容姿と線の細い体―――静貴。
「こんな夜更けに、何の用だ?」
「摩耶について悩んでいるようなので」
「・・・・・・」
静貴は悠々と時臣の前に座り、微笑んだ。
「摩耶は力が強い。簡単には死にません」
「・・・・・・」
時臣は、一瞬も油断できないと、警戒を解かない。
「ですが、どんなに強靭なヴァンパイアでも、彼女の前では無力です」